ノーベル賞受賞を「人間ドラマ」や「愛国ポルノ」として消費するな

日本人がノーベル賞受賞!という報道をテレビで見ながら、とてもモヤモヤしました。

いや、めでたいことはめでたいのですけどねー。

目次

Story

教授の人柄や家族になんて興味ないよ

なんで、マスコミは、奥さんやら教え子やら、高校の同級生やらのインタビューを流すんでしょう。みんな、そんなところに興味あるの?奥さんが教授の研究についてどう思っていたか、なんて、気になる人、そんなにいます?

わたしが思うに、あの報道の核は、伝わってくるのは、2つのことだけです。つまり、「教授は素晴らしい人です」ということと、「皆がよろこんでいるぞ」ということの2つ。

そんなことを報じて何になるんでしょう。「皆で同じことを喜びましょう。教授を皆で称えましょう」とでも言いたいのでしょうか。大本営発表でもあるまいし、気持ち悪い。

わたしは、教授のまわりの人間ドラマなんて興味ないんだよなぁ。奥さんが旦那の研究をどう思っていたかとか、学生に慕われる良い教授でしたとか、そんなことはどうでもいい。わたしがそういう人柄になったからと言って、ノーベル賞とれるわけじゃないでしょ。何の参考にもならない。

そんなことより、もっと、研究の中身や手法、発見のきっかけ、当時の研究環境はどういうもので、どうしてその研究テーマを選んだのかそういうことを深掘りしてほしいのです。その生み出された技術がどのように素晴らしくてどのように人類の役に立つのか、詳しく知りたいのです。

そして、そういう報道はとても少ないのです。

号外が出た、なんてこともニュースになりますが、もっとどうでもいいです。マスコミが自分で盛り上げて、それを自分で報道してるだけじゃないですか。

「教授は素晴らしい人です」という「人間ドラマ」はいらん

「教授は素晴らしい人です」という報道は、教授の「人柄」を集めて「人間ドラマ」として報道しているようにしか見えないです。

もっと言うと、マスコミ各社が、どんな人間であれ、偉大な人間を扱うときに、「人間ドラマ」としてしか扱えないのかなぁ、というふうに感じてしまいました。科学、技術をブラックボックスにして、「人と違う発想で」という人間ドラマ的な評価で終わりにしてしまうと、とっても面白くない。

その切り口でしか伝えられないから、いかに早くご自宅に押し掛けるか、他局が話を聞いていない関係者の感想を聞くか、という報道でしか差別化できなくなるのですよ。

もっと、別の切り口、例えば、もっと科学的にコアな話を分かりやすく伝える、みたいなことをやってくれないもんでしょうか。科学技術の分野での、池上彰みたいな存在が必要だと思います。

マスコミ各社は「サイエンスコミュニケーション」というものをどう考えているのかな・・。これをきっかけに科学技術に関する国民のレベルを高めて、より科学技術の成果を本質的に理解させたいとか思わないのかなぁ。

「皆がよろこんでいるぞ」という「愛国ポルノ」も気持ち悪い

関係者がよろこんでいる様子は、ほほえましいものですが、でも、そんなものには興味がないです。というか、喜ぶ人をこれでもか、と報じるさまは、よろこぶことを強制するようにすら見えます。

「皆がよろこんでいるぞ」は、「よろこんでいないおまえはおかしい」に容易に転じます。

もっと嫌な言い方をすると、今回の報道は、日本人が受賞して誇らしい!という、みんなで楽しむ「愛国ポルノ」にすら見えてきます。

それが、わたしには何か気持ち悪く感じられるのです。

ノーベル賞受賞をストーリーとして消費するようではだめだと思う

ノーベル賞、というのは、過去の研究が評価されているものです。それは、日本としては、過去の環境において、当時の科学技術政策などが適切で、成果が出ていた、という結果を証明するものに過ぎません。

そして、結果は、計画にフィードバックされて、はじめて今後の役に立つものになります。今回の成果から、政治家の人気取りでない、ほんとうに役立つ科学技術政策が出てくるべきなわけです。そういう議論も聞きたいなぁ。

この結果は、一過的に、「人間ドラマ」や「愛国ポルノ」というストーリーとして消費するだなんて、とってももったいないものなんです。

教授も記者会見で触れられている、「基礎研究の空洞化」ということについて、どういう課題があるか、とかそういう視点でも、もっと考えて報じてほしいな、と思うわけです。

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